受け身の大切さ。

我が道場の少年部では、入会したばかりの子供たちに限らず、全ての子供たちに受け身を徹底的に教えることを心がけています。

さらに、「ただ受け身ができれば良い」というレベルではなく、「隙のない、迅速な受け身」を体系的に指導しています。

おそらく、全国にある多くの合気道道場の中でも、受け身を特に重視している道場の一つではないかと考えています。

では、なぜ受け身が重要なのかということになりますが。

まず、受け身を正しく行うことで、投げられたときの頭や関節へのダメージを軽減し、受け身の動作を繰り返すことで、怪我をしにくい体を作ることができます。 受け身の練習は体幹を鍛えるのにも役立ち、倒れるときに体をコントロールする能力も向上しますし、そこから、転倒に対する恐怖心を克服し、心の安定や自信が得られ、精神的な成長にもつながります。 ですので私は、合気道の稽古において受け身は非常に重要な要素と思っています。

ここまで書いたことで、受け身がどれほど良い効果をもたらすかがはっきりしているのですが・・・。
残念ながら、私の知る限りでは、各道場の合気道稽古にて、比率で言うと、「受け身」よりも「技」を優先して教えるような傾向が見られます。

まず、入会を考えている方々は、YouTubeなどの動画を見て参考にしているようです。華麗な技を見て共感し、(私もああなりたい。)と思うことでしょう。

確かに、動画を観て(受け身がすごいから合気道をやってみようかな…。)と思う人はいないですよね。(笑)

華麗な技を学びたいと来られる訳ですので、教える側としても、せっかく合気道に興味を持って来てくださった方々には、ぜひ長く続けていただきたいという思いがあります。

受け身の練習は、一見すると地味に見えるかもしれませんが、実際には結構ハードで、普段使わない筋肉や柔軟性が必要とされます。
そのため、上記の理由を考慮すると、誰にでも難しくするわけにはいきませんよね。

さらに、指導者自身の受け身のスキルにも関係があります。 例えば、大人が合気道を始める際に、受け身があまり得意でない指導者が相手に受け身を教えると、学ぶ側は誤った知識を身につけるリスクがあります。 そのため、そうではあれば、いつまで経っても受け身を習得することはできません。 

そして、毎回そればかりだと、本人も(稽古がつらい)が先行して、稽古に飽きてしまう可能性があると言う事ですね。


しかし私の場合、合気道を始めた頃のことですが、あるきっかけで受け身を徹底的に練習することになりました。 合気道を始めた際、以前通っていた道場での出来事ですが、女性指導員に私の受け身を非常に馬鹿にされたことがありました。(笑)

確かに、その女性指導員の受け身は軽やかで上手でしたので仕方がないのですが、私はまだ合気道を始めたばかりなのに、容赦ないダメ出しが続いていました・・・。(笑) そんなやりとりから(意地でも上手くなってやる!)と思い、そこからは週5回稽古に通い、稽古が終わった後も居残りで練習させてもらったり、自宅でも練習を重ねました。 
 
気が付くと、一般の中でも特に受け身が上手だと言われる数名の中に認識され、その女性指導員も、いつも側で色々と教えてくれるようになっていました。

普通は年齢を重ねると体が硬くなり、スピードも落ちるものですが、私がこの年齢で今でもしっかり受け身も続けられているのは、以前のその女性指導員のダメ出しがあったからこそかも知れませんね。(笑)


事情によりその道場とは離れ、新たに道場に移りましたが、現在では少年部を任される立場になりました。
私の経験や実績、そしてその思考から、受け身を最も重視する少年部になりましたが、技も勿論大切です。

子供たちには「技は自然に後から付いてくる。」と教えています。


私がそのように修行して、自分で実感できたのもありますし、受け身を極めることで、身体能力と集中力は確実に向上しますので、そこから技を習得していく方が効率的だと考えています。


そして、実際に我が少年部で受け身を一生懸命に練習してきた子供たちの合気道のレベルは、今では大人にも引けを取らない、どこに出しても素晴らしい成果を上げてくれています。 私は、そんな子供たちを誇りに思い、感謝の気持ちを共有しながら教えています。



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