頭で動く。体で動く。武道の心髄はどちら?

型を学ぶなら体感で学べ。

考えで型を追い求めず。

全て学び、全て忘れる。

そして、拘りを捨て独自のやり方を見つける。

これは、私が昔から弟子に教えていた【守・破・離】の原則です。

ようは、【形に嵌るな。】そんな意味です。


合気道と言うか、全ての武道に共通しているのですが、【頭で動く】のではなく【体で動く】と前回書きましたが、体で動く?についての疑問について、今回はもう少し深く掘り下げて進めて行きましょう。


その前にまず、脳のシステムなのですが動きには2種類あります。

遅くて意識的に努力しないと働いてくれない、熟慮的な思考プロセスを担当する

【システム1】

素早く自動的でしかも無意識的に働く、直観的な思考プロセスを生み出す。

【システム2】


真新しい事や未経験な事をしようとすると、脳はそのデーターを分析して、そこから各部位に(どのように動け!)と指示を出します。

これが【システム1】です。

このやり取りは、実際には視覚・聴覚などから脳に信号を送り、脳からの指示に体のタイムラグが生じます。

それが【頭で動く】と言う事になります。


では、例えば熱いものをさわった時に「熱っ!?」手を引っ込めたりしますよね。

これは(屈曲反射)と言いまして、手足や体幹の感覚情報は脳に行く前に脊髄を通る体で動く】=【システム2】になります。

これがを使うのが【防御反射】と言います。

そして、通勤や通学の慣れた道を歩く場合、頭で(次は左折しないと!)考えながら歩きません。

【無意識に動く。】これがそうです。

簡単にまとめますと、稽古でする技の動作など日常ではしませんが身体の動き自体を習慣化のように工夫し、脳のシステム2を上手く使えるように稽古に落とし込めば俊敏さとか反応の良さは日常の動作にも影響して来ます。


俊敏さや反応の良さは、体と脳のレーダーが通常の人より早く入るように準備していますので体に無駄な動きをさせません。

いつも物静かで落ち着いている人が、実は結構それに属します。


私が稽古で子供達に教えようとする意図はここにあります。

子供の今うちは活発で元気で良いのです。

素直で活発な精神はいずれポジティブ思考に繋がり、大人になり【凛とした姿】になって欲しい願いでもあります。

勿論、個人差もありますので100%とは言えませんが、正しい道筋を学びそこまで行けば、前回書きました【危険回避能力】は一般人より遥かに高いのは当然です。



*若い世代への指導*

新しく入会された若い世代への合気道の身体能力指導は、同じ若い元気な若者が適しています。

何故かと言いますと、意識的にも近いし身体能力も同等ですので、【同世代】で【同調化】の合稽古の方が遥かに効率が良いからです。

確かに技の熟知は高年齢高段者の方が高いですが、身体能力の高さは若者の方が遥かにあります。

年齢による身体能力の低下の場合、理屈に変えて教えてしまいがちです。

*動きの遅い歯車と、動きの速い歯車が噛み合う訳がありません。*

例え運動能力が高く素早くても、受けの若者は相手に合わせて遠慮するような感じになる場合もありますし、教える側にそれだけの容量が無くても、そのような理由で対象者(学ぶ側)の器量を安易に判断しがちなどもそこにあります。

残念ながら、そこが合気道では今一つ若者の活躍する場面が少なく感じますし、そして若者の稽古へのモチベーション低下と共にフェードアウト(稽古に来なくなる)要因のひとつだと思っています。

私も武道シニア組ですので双方の役割の大切さは分かっていますが、本来、我々指導員は若い世代へ、形に嵌めてしまうような教えをするのではなく、個性を生かしてあげるような応援する手助けも大切です。

少年部では、時には上級生に下級生の相手をさせて任せたり、基本技などの模範指導も、(私が教えて進ぜよう。)ばかりではなく、若い世代にその役目をいつか引き継いでもらうような教え方であるべきだと思います。

そして、もっと中高生や若い世代が賑わう合気道でも悪くないような気がします。


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