子供たちの可能性は無限大。
年に一度の、各道場が集う演武会も無事終了しました。
子供たちの一生懸命な姿を、微笑ましく見守る事もできましたし、少年部演武を観ていた他道場の知り合いの指導員からも、元気な子供たちに対しお褒め頂き、とても誇らしく安堵できました。
実は、少年部の演武項目なのですが、本来は個人の級レベルに合わせて技を決めます。
しかし今回の演武は級レベル関係無く、有段者がするような技や、大人でも難しい技もさせています。(笑)
日頃の稽古でも、級に合わせ基本中の基本で簡単な技を教え、進級によって技を一つづつ増やして行くような感じの指導を普通はします。
以前の少年部でも【初級】【中級】【上級】とクラス分けしていて、クラス別に1指導員が付いて教えていました。
一見、合理的な稽古方法に見えますが、実は、ここには大きな欠点があるとも思っていたのですが、簡単に言いますと、初級の子供が中級のレベルに上がる審査をする際に、当然今まで【初級】でのレベルの技しかしていませんので、【中級】の技を新たに覚えるのに時間が掛かり、指導員によっては教える事が違う場合もあり子供たちも困惑したりして所謂ムラが生じます。
そんな時の子供たちは、大体嫌がります。
私が少年部の指導要領を受け持つ事になった際、まず改正したのがここです。
クラス分けを廃止し、全体一律の稽古にしました。
勿論、入会したばかりの子供には、まず正しい正座や受け身など、今までしていなかったような運動を別稽古で徐々に慣れてもらうようにしています。
その時期をクリアすれば、即、他の子供たちと一緒に稽古してもらいます。
子供たちの中には、覚えが早い・遅い、器用・不器用など勿論ありますし、年齢的にも段階を経た稽古をしなければいけませんが、まず子供たちの興味や向上心を引き出す事を念頭に置くべきだと私は思っています。
時には、級が上の子に下の子供と組ませてあげる事により本人に任せ教えさせます。
実はこの「教える」行為は本人の上達に大い役立ちます。
(教える為には自分がしっかりしなければいけない!)と稽古に望む姿勢が格段に上がりますし、そこから責任感というものが芽生えます。
そして、みんなで同じ技をまずさせて、上手く出来なかったり失敗すれば、(もう一度!)と、全体が一体になる事を繰り返す事で、チャレンジ精神や仲間意識も向上します。
この改善した稽古方法で、以前のような稽古中に悪ふざける子供が1人も居なくなりましたし、同レベルの技を子供たち全員で稽古していますので、昇級審査前ギリギリで困惑しながらの無理な特訓も必要無くなりました。
何よりも良くなったのが、既存の子供たちが新しく見学をしに来た子供に対し、以前は「何?この子?」な感じでしたが、今では「こんにちは!」とウェルカム感たっぷりで歩み寄ってくれています。
向上心も上がりましたので、新しい事をどんどん覚えようとします。
私も、その向上心を大切にしたいので、今回の演武会も子供たちが(やってみたい!)という気持ちに応える結果、級に合わせた程度の技よりも難易度の高い技にもチャレンジさせる形になりました。
そんな子供たちを見た高段者の中には(技が未熟だ。)のような視点でしか見れない人も居るかもしれません。
通常、指導する側の人の中には、初めから【技の完成度】を学ぶ側に求めてしまいます。
しかし私は【進行形】をまず考え、本人たちが一生懸命続ければ、技の完成度なんかは後から付いて来ると思っています。
頑張っている姿を絶賛してあげれる人達に、見てもらう為の演武会であるべきですので、子供たちの演武会は大成功だと確信しています。